
弊社では、不動産賃貸借契約における賃料改定のご相談を数多く承っております。
今回は、10年近く据え置かれていた店舗賃料を、現在の市況に合わせて増額改定したいというご依頼について、簡単に解説します。
※守秘義務があるため、大枠のみとなります。

1. はじめに
10年前に締結した賃貸借契約では、現在の市場水準と乖離が生じている場合が多くなっています。
特に福岡市の中心部など、地価が上昇しているエリアでは、現行家賃のままでは貸主側の負担が重くなる一方です。
しかし、賃料の増額改定は借主との交渉が必要であり、単に「相場が上がったから」という理由だけでは納得を得ることは困難です。
家賃交渉を円滑に進めるためには、客観的かつ論理的な数値に基づいた「不動産鑑定」があると、説得力が増します。
2. 福岡市店舗物件における賃料相場の現状
今回の受任案件のように、福岡市内の店舗物件では、現行家賃が坪単価●円と、現在の市場相場と比較して極めて低廉に設定されているケースが見受けられます。
注目すべきは、コロナ禍以降の市場回復です。
福岡市の商業エリアは堅調な需要を維持しており、周辺家賃はむしろ上昇傾向にあります。
この「契約時と現在との実質的な賃料ギャップ」を証明することが、増額交渉の出発点となります。
3. 適正な賃料を導くための鑑定評価手法
継続賃料(現在賃貸借契約中の賃料)を求める際、弊社では特に以下の手法を組み合わせて分析を行います。
差額配分法を重視
差額配分法とは、現行の「契約賃料」と「経済価値に即した適正な新規賃料」との差額を、賃貸借契約の当事者間で配分して適正賃料を求める手法です。
この手法は、なぜ賃料を増額すべきかという根拠を直接的に説明できるため、増額交渉において非常に説得力が高まります。
スライド法を重視
スライド法とは、契約締結時の賃料に、その後の経済情勢の変化に応じた変動率(地価や固定資産税の変化、物価変動など)を乗じて算出する手法です。
10年前の契約当時から現在に至るまでのコスト増(固定資産税の上昇など)を反映させることで、増額の正当性を論理的に補強します。
4. 賃料改定交渉を成功させるために
鑑定評価によって算出した適正賃料は、単なる金額の提示ではありません。
調停や訴訟等の公的な解決の場でも通用する「公的な裏付け」となります。
特に賃料改定交渉においては、以下の視点が重要です。
- 新規賃料と継続賃料には、既存の契約関係があるか否かという性格の違いがある。
- 市場賃料データを広く収集し、客観的な相場観を提示する。
- 固定資産税や修繕費等の貸主側のコスト負担増を論理的に説明する。
弊社では、不動産鑑定士が作成する評価書を通じて、貸主様が自信を持って交渉に臨めるようサポートいたします。
まとめ
長期間据え置かれた家賃を適正化することは、不動産経営における健全な運用といえます。
固定資産税や周辺家賃相場の上昇という市場環境を味方につけ、適正な増額改定を実現できるよう、不動産鑑定士としてお手伝いさせていただきます。
なお、過度の交渉を推奨するわけではなく、周辺家賃相場を考慮した「適正家賃」を不動産鑑定では求めますので、ご安心ください。
「現行家賃が相場より安いのではないか」「どれくらいまでなら増額交渉が可能か知りたい」という方は、ぜひ弊社までご相談ください。評価の机上概算は無料で行っております。
以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
この記事の執筆者

地代・家賃の鑑定相談室
不動産鑑定士 上銘 隆佑
Ryusuke Joumei
「地代・家賃の鑑定相談室」運営。上銘不動産鑑定士事務所代表。
大和不動産鑑定株式会社東京本社に入社し、2019年に不動産鑑定士登録(第10401号)。国内系不動産アセットマネジメント会社への出向を経て、大和不動産鑑定株式会社九州支社へ赴任。
適正家賃、関係者間売買、証券化対象不動産、銀行の担保不動産、公有地の売買に係る不動産鑑定評価を中心に、不動産鑑定評価に携わる。
不動産鑑定業 福岡県知事 第(1)-347号
info@jkantei-office.com
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