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【Q&A形式】賃料評価の鑑定依頼時にオーナーが準備すべき資料、「適正賃料」を導き、交渉を有利にするために。

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【執筆・監修】
地代・家賃の鑑定相談室
不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

「地代・家賃の鑑定相談室」を運営しています、不動産鑑定士の上銘です。

「賃料を上げたい、下げたい」「今の家賃が適正なのか知りたい」—そんな地代・家賃の悩みを抱えて、当事務所にご相談いただく方が増えています。

皆様の不動産の適正賃料を算定し、説得力のある交渉材料を提供することが私たちの使命です。

しかし、正確で、かつ強力な交渉材料となる鑑定評価書を作成するためには、オーナー様にご準備いただく「資料」が非常に重要になります。

そこで今回は、鑑定評価をスムーズに進め、より有利な結果を導き出すために、オーナー様が揃えておくべき「適正賃料」を導くための資料について、Q&A形式で書いていきます。


目次

Q1. なぜ、こんなにたくさんの資料が必要なのですか?

A. 裁判でも通用する「説得力」の根拠を積み上げるためです。

賃料鑑定は、単なる市場調査ではありません。

当事務所では、不動産鑑定評価基準という公的なルールに基づき、誰が見ても納得できる論理的な根拠を積み上げて、最終的な適正賃料を導き出します。

この根拠の説得力を高めるために、物件の「コスト面」「市場面」「収益面」の3方向から検証する必要があり、その検証材料として様々な資料が必要になります。

資料が豊富であるほど、賃料交渉の経緯や賃料決定の背景を深く理解でき、より有利な結論に近づきやすくなります。


Q2. 【コスト面】固定資産税の資料は使いますか?

A. 「固定資産税課税明細書」または「納税通知書」が非常に重要です。

賃料増額の根拠として、「オーナーのコストが増加していること」を示すことは極めて重要です。

このコストを客観的に証明するのが、毎年届く固定資産税課税明細書または納税通知書です。

準備すべき資料:固定資産税課税明細書(直近3~5年分)

◎ 不動産鑑定での重要性:

  • 積算法の根拠: 賃料を算定する積算法において、この税金は「必要諸経費等」として直接計算されます。固定資産税課税明細があれば、近年続いている土地価格上昇に伴う税負担の増加を数値で証明でき、賃料増額の強力な根拠となります。
  • 公的価格の把握: 評価額から公的価格(固定資産税評価額)を把握し、これが市場価格とどれだけ乖離しているかを分析する材料にもなります。

その他コスト資料:

  • 修繕・維持管理費用の履歴:管理費や修繕費の増加も、賃料に反映させるべきコストです。

Q3. 【収益面】今の賃料が「安すぎる」ことを証明する資料は何ですか?

A. 「賃貸借契約書」と過去の「賃料交渉の経緯」をまとめた資料です。

現在の賃料が適正水準と比べて低すぎると主張する場合、なぜそうなっているのかの「交渉履歴」を提示する必要があります。

準備すべき資料:賃貸借契約書(最新版および過去の改定分)

◎ 不動産鑑定での重要性:

  • 継続賃料の出発点: 現在の賃料(現行賃料)がいくらか、更新時期、特約事項(賃料増減額請求権の放棄などがないか)を把握するための最重要資料です。
  • 当初賃料の把握: 当初の契約日から時間が経っていれば経っているほど、周辺相場との比較で賃料が乖離している可能性が高く、増額の根拠となります。

準備すべき資料:賃料交渉の経緯をまとめた資料やメモ

◎ 不動産鑑定での重要性:

  • 継続賃料の評価: 過去に賃料改定があったか、その改定は市場動向を反映したものか、それとも「据え置き」だったのかの背景を知ることで、継続賃料の評価に深みが増します。
  • 訴訟リスクの判断: 過去の交渉でどのような主張があったかを把握することで、今後の賃料トラブルの方向性やリスクを予測できます。

Q4. 【市場面】物件のポテンシャルと価値を証明する資料は何ですか?

A. 可能な限りの「周辺相場との比較」情報です。

物件が持つ市場での価値を証明するために必要な資料です。

準備すべき資料:周辺相場との比較情報(過去の募集時の引き合いなど)

◎ 不動産鑑定での重要性:

  • 市場の把握: オーナーがご存知の周辺相場との比較情報(例:近隣の新築物件の家賃募集図面)は、我々鑑定士が新規賃料を算定する際の賃貸事例比較法の参考事例収集に役立ちます。
  • 地域分析の補強: 「この物件は特別立地がいい」「再開発の影響を受けている」といった主張を裏付けるための地域特有のデータも重要となります。

Q5. 自分で資料を揃えるのが難しいのですが、手伝ってもらえますか?

A. はい、ご安心ください!サポートさせていただきます。

登記簿ってどこで取るの?」「固定資産税課税明細が見当たらない」といったご不安はごもっともです。

当事務所にご依頼いただければ、登記簿謄本などの公的資料については、不動産鑑定士が取得することが可能です。

オーナーには、お手元にある「賃貸借契約書」や「賃料交渉の経緯」など、ご自身しか知りえない情報を優先的にご提供いただければ大丈夫です。

まとめ:適正な賃料鑑定は、資料が命!

「地代・家賃の鑑定相談室」では、これらの資料をデータ集のように活用し、論理的な適正賃料を導き出します。

適切な資料をご提供いただくことは、交渉を有利に進めるための第一歩です。

賃料交渉の経緯固定資産税課税明細などの準備についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

皆様の大切な資産の価値向上を、不動産鑑定士として全力でサポートいたします!


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。

地代・家賃の鑑定相談室
不動産鑑定士(第10401号)
上銘 隆佑

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